身体を使って表現している人の中には表現をするうえで、自己陶酔してはいけないと教えられたり、聞いたりしたことがある人がいると思います。
私個人としては、正直なところ自己陶酔していてもいいとは思ったりもしますが、やっぱり自己陶酔している人のダンスはあまり長いこと見たくはないなという感じです。笑
今回は、表現する上で自己陶酔せず、見ている方に気持ちよく各々の届けたいものを伝える方法について書きます( ^ω^ )
ダンスはもともと感情を表現するもの
ダンスは基本的にもともとは感情の高まりから身体がリズムを取り始め、ステップを踏み、身体全体を使って感情を表に出す、というところから来ています。
私の意見ですが、「表に出す」と言うことは、自分以外の対象があるという事だと思っています。
つまり、そこにはベクトルが存在します。
自己陶酔型の場合、ベクトルがあるとすれば完全に「自分」です。自分に向けたダンスを人前で踊っているということになります。そう考えるとちょっと、見ている側はなんとなくこっぱずかしくなったり、はたまた、置いてきぼり感をくらったりします。
つまり、「表現しているのでなく、完全に自己満足に付き合っている時間、空間」になってしまうのです。
ダンスを誰に向けて踊るのかを意識すれば交流が生まれる
ベクトルがあれば、自己満足にはなりません。交流が生まれます。
ダンスバトルなどはそのとてもわかりやすい例ですね。
披露する側のただの一方通行にならず、バトル相手や観客とともに空間を作り濃密な時間を生み出します。
つまり、ダンスには交流が大切だということです。
一人で踊る場合も、まず、振り付け師から振りをしっかり受け取る。それを自分の中に正確に取り込む。自己陶酔してしまう方は、序盤から振りに自分の癖をこってりとつけてしまうケースが多いと思います。
客観的に鏡と自分と振り付け師と向き合い、そこで対話が出来なければベクトルが全て自分にしか向かない、という事になってしまいます。
そして音楽をよく、聴くことが大切です。
このサウンドのこの楽器の音が好き、このアクセントが好き、等々、音楽に想いを寄せる。すると、音楽との交流、対話が生まれます。
そしてお客様の前で表現する際は、その空間をしっかり肌で感じてお客の目を、視線をしっかり受け取る。自分の中だけで完結してしまわない。
自分一人で空間を支配するのではなく、お客様をしっかり惹きつけて、お客様の息遣い、視線を肌や視覚でしっかりと感じる。
そうすれば、例えば一人で舞台に立つとき、自己陶酔せず、堂々と表現ができるのではないかと思います。
ペアダンスや群舞はもう、それこそ一人ではありませんよね。互いに交流しながら空間を作っていきます。ただ、そこで注意するべき事は「内輪だけの盛り上がり」にならないこと。
見てもらうのはお客様。
この大前提は決して崩れてはいけません。お金を頂くならなおさらです。
ベクトルの向きで表現は変わります。
交流で空間は変わります。
それを楽しみましょう。
表現は自由です。
型にはまらず、自分にこもらず、一人でも多くの人がダンスや、舞台の上で自分を表現できますように。